軟弱古書店店長日記

山岳古書、アウトドアなどの古書店です。雨の休日は、遥か遠い山に思いをはせながら、ウィスキーをちびりちびり、とっておきの山の古本に浸ってみませんか?

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最近仕入で気に入った本がこれです。

「日本北アルプス登山案内」。冠松次郎著で昭和十四年新装版。価格は一円。
なんと外地価格は満洲・樺太あたりでは一円十銭です。開戦前夜にもこんな本が
出版されていたのですね。

日本北アルプス登山案内

なんともこカバーのデッサンがうれしいです。サイズは現在の文庫本よりひと回り小さいのでとても
オシャレな感じです。どこかのバーでウイスキーのロックグラスの横などに何気なくおいてある
なんていいですね。装丁は足立源一郎という方のようです。

戦前の本で使用感もあり、登頂した山でしょうか。○の書き込みもありますが、目立ったキズもなく
見開きには地図も残っています。

しばらくはこの本で秋の夜長すごせそうです。販売の棚にはいるのはまだまだ先になりそうです。

今月は買取希望が重なり見積などで忙しくしています。ご送付いただいた本をペラペラ見ていると
つい読み入ってしまう本もあります。また戦前の本でも美本に出会うととてもうれしくなってしまいます。でもなによりきれいに手入れされた本が届くと、送り手の本への愛情が感じられとてもうれしいものです。

逆にちょっと、と思うのは「ホコリ」。実は本の天、上の部分はとてもホコリがたまりやすいところです。
ご送付いただきますと、私はまず天のホコリを確認します。
ご存知ないのでしょうが永年本棚に入れたままだと「天」に綿ボコリがしっかり溜まっています。
なかなかそこまでは掃除の手がはいらないのでしょう。
大事な本ですから時々手にとりハタキなどでホコリを落とされると良いと思います。
愛書家のかたはぜひご確認ください。

ということで、またこのコーナーでご送付いただいた古本の「これは」というものをご紹介できればと
思います。





9月になってようやく天候も安定してきたようですが、今度はぱったり雨が降らなくなりました。
とりあえず今のうちにと、まだ未踏破の不帰嶮に行って来ました。

なにぶん自分の「休日」ということで、八方のゴンドラとリフトでガソリンである缶ビールを、
天狗山荘では生ビールをいただきながらの山行となりました。
ゴンドラ乗り場に缶ビールが売られてるのはいいですが、稜線のぽつんと一軒の小屋に
生ビールのノボリがあるのはなんとも変です、が、ついついオーダーしてしまいます。

もう山はすっかり秋風が吹き、今にも色づきはじめるようなちょっと寂しい風情でした。
あの白馬山荘も、各パーティー、単独者に1室ずつ使えるほど静かな山でした。

小屋におもしろそうな山の本はないか書棚を覗きましたが、雑誌かマンガの類ばかりで
ちょっと残念。栂池に下山し、八方にもどって「倉下の湯」という露天のみのお風呂で
汗を流しました。

道中のスライドショーをどうぞご覧ください。


もう9月になりましたね。今年の夏は涼しくてよかったのかどうか微妙なところです
戦争の話題ももう季節はずれですが、、、

関東地方体錬歩行路図という地図が手元にあります。今年早々に当店に入りました。
昭和十八年三版発行で戦時中の登山地図です。東京貯蓄銀行練成会健歩部という蔵書印もあり
「体錬」やら「錬成」やら、軟弱登山の首謀者としては信じられないシロモノです。
登山などやるなら来るべき本土決戦のためにトレーニングをしなさいといったところでしょうか。

しかし、この地図をよく見ると題目こそ勇ましいものとなっていますが、その下には
家族向・第一部・丘陵編と書かれています。裏面には発行案内があり「家族向」「一般向」
「健脚向」と三部に分けてあり、現在のガイドブックの分類ととても似ています。

ついでに中身を覗くと、

例えば御岳山については「帝都市民随一の行楽地を山に求めるならば、、、」とか、
高尾山などは「和服に下駄履きでも何等苦労がない、、、」といった具合です。

この編集者は皮肉を込めてこんな表現をしたのでしょうか?いや、ただ単純に変えるべき
文言を置き換えた結果なのかもしれません。

大変な時代だったのでしょうが、こんなほほえましい「軟弱」な表現が発見できて
なんだかホッとした次第です。




日本海の海水を採って北、中央、南アルプスを縦走して太平洋まで歩いたノンフィクション。

一応学生時代に南アルプスを縦走したことがあるので、この本はすぐ手にとって読み始めた。
靴ずれ、ヤブコキ、雨、停滞、汗、臭い、キスリング、焚き火、水浴び、洗濯、テント食などなど
なつかしい夏の縦走が彷彿とする。著者の若々しい文章もとてもさわやかで、
若者の登山の楽しさがうかがえる。あっという間に読める本。

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アルプス縦断35日 内田良平著 山と渓谷社 S40、初版